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エステに行こう

靴がきつくなったので、最初はむくんでいるのかと思ったが、それはただ肉がついただけだったのだ。こういう肉体の変化を毎日感じていると、本当に何もかもが嫌になってくる。痩せていた頃の写真でも見れば、深い溜息が出てくるし、涙があふれてくる。―もとの体に戻りたい。そう思えば思うほど、この、肥えて醜くなった自分の肉体を切り刻みたくなってくる。しかし暴食を自分で止めることができないのだから、自己流ダイエットは合っていないと思わざるを得ない。やはりエステに行こう。そうすれば痩せられる。もとの体に戻れるに違いない。私は積み重ねてある女性誌を、狭いキッチンのテーブルの上に置いた。小さく溜息をつきながら、キッチンを見回す。流しはグラスを四つも置けばいっぱいになってしまう。コンロは蚊取り線香のような形をした熱の弱い電気で、お湯を沸かすのにも時間がかかる。この調理には向いていないキッチンを見るたびに、私と同じような気がしてくる。一とおりのものが作れるようになってはいるものの、実際にいろいろと調理しようと思うと無理がある。お湯は沸かせても、炒め物や揚げ物などのアレンジになると、時間と電気代がかかり、長時間使っているとすぐに壊れてしまい、電熱部分ごと取り替えなければならなくなるほどいかれてしまう。まさに自分と同じだと思う。容量に合わないことをしていれば無理が生じ、その状態をいつまでも我慢していれば、肉体も精神も取り返しがつかないほど壊れてしまうのだ。「まだ寝ないの?」眉間に皺を寄せてエステの広告に目を凝らす私の背後に、もともと腫れぼったい目をさらに細めて、深くため息をつきながら、彼氏が突っ立っていた。「ああ、眠れなかったから。もう寝るよ」一瞬、彼氏の声に体がびくりと反応したが、私は平静を装った声を出した。こんな時間にエステの広告を薄明かりの下で見ているとは、異常な行動としか思えないだろう。だからペラペラとページをめくってごまかした。一年中、Tシャツと短パンで寝ている彼氏は、鳥肌の立っている腕をさすりながら、それ以上何も言わずにベッドへ戻った。
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