慢性病の場合でも患者を社会的な、また医療上の責任を分かつことのできるパートナーとして遇しがたい場合があるからです。医療技術が進歩したために珍しくなくなった、意識を失い、口もきけないまま数年をこえて生きつづける植物状態の患者の場合などは、慢性病であるといっても成人のモデルをそのまま適用することはできませんし、サス自身の専門分野である精神病患者の一部なども、むしろ親―幼児ないし親−年長児のパターンとして扱わざるをえないでしょう。ボケ老人の場合もそうです。しかし、とにかく急性病はその代表格の感染症(細菌やウィルスで起こる疾患)が抗生剤(ペニシリンなど)によって比較的たやすく処理できるようになり、また実際多くの感染症はほとんど処理されてしまい、感染症以外の急性病も医学の目覚ましい進歩の結果、治りきらなくても、簡単には死亡しなくなり、慢性患者あるいは障害者のカテゴリーに移行して長く生きつづけるようになりましたから、今日の医療における支配的な人間関係、技術関係は第三のモデルであるといっても大きな誤まりはないと私は考えているのです。