「どういう事情であっても、一度巣から出てしまったヒナは、たとえそれが我が子であっても縄張りを荒らす敵とみなされてしまう」。不用意に巣からはみ出してしまったヒナだけでなく、残ったヒナもやがては巣を出て行ってしまいます。人間の場合は血縁としての関係は永遠に残るのでしょうが、野生という厳しい環境では親も子もありません、巣立った瞬間からお互いライバル同士になってしまうのです。人間の社会にペリカン親子の逸話をすべて当てはめてしまうわけにはいきませんが、住まいとはいったい誰のものなのかと考えた時、この逸話は私たち人間にとても厳しい試練を突きつけてくるような気がしてなりません。
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というのも、一般的な感覚としては、家はいつまでも家族のものであると考えがちだからです。しかしながら、都市生活における「家」は、巣立っていく子どもたちの精神的な拠り所にはなるものの、生活実態という側面から見れば、その家で暮らし続ける夫婦のものだと言うことができるでしょう。ここではもちろん、家を単に資産とみなしているわけではないので、相続・贈与などといった所有権の問題についてはあえて考えません。