残念ながら、この種の試みに対して、他の不動産会社からは、「そういう玄関をつくるには、それだけカネがかかりますからねえ」という消極的な感想ばかりが聞こえてくる。中には、「購入者はそういった、販売価格のアップにつながるような施設の設置を望んでいないと思う」という意見まで飛び出す始末だ。まさにそのようなコストに神経過敏な風潮こそ、現在のマンションが、今一歩大きく飛躍できない元凶なのだ。多少コストがアップしたとしても(とはいっても窓一つ当たり数十万円などかかるわけがなく、嵌め殺し窓で10万円前後なのだが)、それを費用対効果で判断することができない不動産会社が多いのである。自然の光によって明るくなった玄関がいかに快適なものかをイメージできない不動産会社ほど、その種の工夫を施せない理由を、「購入者が望んでいない」というように、自分たちの企画力のウスさを棚に上げて、すべて購入者側に押しつけようとする。購入者が望まないのはムリもないことで、望む望まない以前に、建築のシロウトであるはずの多くの購入者は、自然の光があふれるような玄関の心地よさなど知らないはずだ。玄関ドアや袖壁にガラスを嵌め込むことが、いかに玄関ホールを快適にするかなど想像できないだろうし、ましてやトップライトが通常のガラス窓の三倍の明るさを提供することなど、知るわけがない。