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借金嫌いだったUさん

バブルが発生する少し前のことです。大手メーカーに勤務するUさんがモデルルームに顔を出しました。Uさんは奥様と高校生・中学生のお子さん二人の四人家族で、わりに広い社宅に住んでいました。堅い人で、「定年退職するまでは社宅住まいで十分。退職したら退職金で家を建てる」というのが持論のようです。でも、よく聞いてみると、「借金が嫌い」というのがすべてに優先していたのです。ではなぜモデルルームに来たかというと、お嬢さんたちの希望でした。お嬢さんたちのクラスメートの中にマンションに住み替える人が増えてきて、それをとても羨ましかっているのをUさんがひしひしと感じたのです。その意味でUさんはとても家族思いの人でした。が、なにしろ借金嫌い。家族の希望と借金嫌いが堂々巡りしているのが痛いほどわかります。そこで私は、「ローンを借金と考えるからいけない。退職金の前借りと考えるべきだ」と説得しました。そして、結局Uさんはこのマンションを購入することになったのです。ある日、私の会社にUさんから電話があって「家に食事に来ないか」と誘われました。伺ってみると、Uさんはおおげさではなく別人のような明るい笑顔で迎えてくれました。お嬢さんたちの部屋を案内してもらった後、ご家族全員と食事。終始笑いの絶えない皆さんから、マンション生活がとても快適なことが伝わってきます。